違いがお分かりになりますか。どちらも勾配を駆け上るキハ58のSSです。
あと10秒…5秒…3、2、1、0。わかったかなみんな??(殴
左のSSはいわゆる縦曲線を再現しています。注意すれば左のSSの勾配区間と水平区間の境が滑らかなカーブを描いていることがお分かりいただけるでしょう。
VRM4では線路の高度を自由に設定可能になったため、このように滑らかな縦曲線を再現可能になりました。VRM3では線路の高度は5mm刻みに(ほぼ)限定されていましたから、右のSSのように線路がポキッと折れているかのような見た目になってしまいます。
縦曲線を使うと、傍からの見た目だけでなく運転時のリアリティも確実に高めます。
些細なことではありますが、標識類の設置や線路のズレの是正、あるいはこの縦曲線のように、走っていて常に気になる線路周辺の細かく堅実な作りこみが、ときにあっと驚かせるような隠し玉アイディアと同じかそれ以上の効果を発揮し得ると自分は信じます。
VRMレイアウトの方法論(1)で紹介した、曲構成をレイアウト製作に持ち込む手法は、こういった具体的な手法とは次元の異なる話です。いわゆるレイアウトのコンセプトの話であり、この、コンセプトへの考慮なくしては、そのレイアウトが単調でおとなしいつくりに終わることは避けられないでしょう。
だからこそ小手先の細かい部品の配置よりも“大技”がより重視されるのは当然であります。しかしながらどんなに素晴らしい大技の魅力も、運転そのものが快適でなくては残念ながらどんどん目減りしていくのです。
まず基本である運転環境を整えてこそ、大技に感動する余裕が発生します。そういう意味では標識類や縦曲線はむしろオプション的な要素ともいえますが、少なくとも線路のズレはゼロを目指すべきです。
もちろん全体の世界観がよくできていれば多少の線路のズレなど気にしないという方も多くいるでしょうし、それを否定などしません。ただ、VRMレイアウトを作る際には木を見て森を見ずという状況に陥ることに注意を払うのと同じくらい、森を見て木を見ずなる状況にも気をつけねばならないと思うのです。自戒の念をこめて。