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「水面に映るVSE」が明快なアイディアで部門賞をもぎ取った快作であるならば、「夕暮れ時の工場と蒸留塔」は、目にするたびにじわじわと記憶に食い込んでいく、スルメイカのような怪作であります。

蒸留塔のシルエットが林立する不穏な薄暗がりに、工場の壁を這う配管が、汚水に浮かぶゴミが、動き出す貨物列車が、ぼんやりと浮かび上がっています。工場から乾いた機械音が響いてくる気がします。作業する人たちさえ工場の機械の一部に思えてきます。
もうワケがわからないくらいコンプレックスを極めた工場の作り込みは、あまりの凄さにそこだけに目を奪われがちです。しかし、実はこの工場に息を吹き込んでいるのは、夕暮れモードと照明部品を併用した光線の演出です。VRM4ならではのテクニックによる表現が、天球テクスチャと共に画面に不穏な空気を流し込み、工場に最後のリアリティを加味しています。
建造物に見られる“規則正しさ”と、浮遊するゴミなどに見られる“良い意味でのラフさ”が両方とも完璧に備わっており、しかもそれがダークな演出によって幾倍にも強化された隙のない作品です。


