2007年11月30日

レイコン2007 - MOTOKIさん「Developing Town」

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↑レイアウトコンテスト2007の応募作品はこちらからダウンロードできます↑

 VRMでリアルな情景を作るには、なんだかんだ言って製作者の地味な努力が欠かせません。何もない平地の真ん中に素晴らしくリアルな東京タワーがあっても、それは“情景”ですらないのです。VRMにおいては、部品そのもののリアルさではなく、その置き方の妙こそが情景のリアリティを決めることは、皆さん納得していただけると思います。

 しかも厄介なことに、リアルな情景というのは、要は日常生活において見過ごしてしまうようなモノの在り方のことであり、だからこそ、恣意的な部品配置による再現は難しいですし、その工夫に気付いてもらったり、あるいは伝えたりすることも難しいのであります。

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 MOTOKIさんの「Developing Town」は、そのような、目立たなくとも巧妙な工夫が各所に詰まった良作です。標識類がていねいに並べられた線路を走る113系は、汽笛吹鳴標識を通りかかるとひとりでに警笛を鳴らします。そういったさりげない工夫が、レイアウト全体の質を底上げするのです。

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 このスクリーンショットの田んぼは、隣り合った区画の田んぼの高度をあえてずらすことで、小さなレイアウト内に立体感を加えることに成功しています。ここでも、単純に田んぼ全てを一律に高度を下げるだけではない、もう一段階発想を進めた工夫がなされています。

 非常にもったいなく感じるのは、地形テクスチャーがデフォルトのものである点です。この地形テクスチャーは大抵のVRMユーザーなら飽きるほど目にしているはずのもの(審査員の人々は特にそうでしょう)なので、これをそのまま使うことは初見のインパクトの新鮮さを損なう効果しかもたらしません。
 つくりは非常に素晴らしく、個人的に共感もたくさんできる作品だけに、そのことだけが惜しまれます。

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 ところでこの作品内には、なぜかこいのぼりがいくつか掲げられています。画像では少しわかりにくいですが、手前と奥のふたつのこいのぼりの風向きがきちんと揃っていることに、MOTOKIさんの細やかな工夫の片鱗をまたもや垣間見ることができて楽しくなりました。


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レイコン2007 - Takaさん「碓氷線風レイアウト」

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 VRMには、今までにも碓氷峠をテーマにしたたくさんの作品があります。はてなマップにクリップされているだけでもこれだけあるわけですが、少なくともそれを見る限りでは、「碓氷線風レイアウト」ほど規模が大きくかつエンドレス仕上げの作品は、VRMとしてはこれが初めてのようです。

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 もちろん、作者のTakaさん本人もreadmeで認めるように、全体的な印象としてこの作品がまだ未完成の域であることは否めません。
 ですが、地形高度はきちんと造成されていて、初心者にありがちな平板なレイアウトにはなっていないですし、また、テクスチャーの張替えにも部分的ながら手が伸ばされていることを見ても、これは純粋に時間不足の結果であり、決してTakaさんのスキルそのものが低いためではないことがわかります。

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 横川駅には現役時代の183系やEF63と共に、本来顔を合わせることがないはずの快速碓氷号の12系が停車していて、さりげない遊び心も感じられます。
 レイアウトコンテストは、レイアウト制作意欲を盛り上げるためのお祭であって、終着点ではありません。ぜひこのレイアウトの完成版を見てみたいと思いました。
posted by 45-50s at 01:34| Comment(0) | TrackBack(0) | VRM雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月29日

レイコン2007 - hirochiさん「SD・東京ぬりえ」

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 VRMがいかにリアルだとは言っても限界はあるわけで、逆に言えばだからこそ、いくつかの部品を強引に組み合わせて別の部品を作りあげてしまう無理矢理ストラクチャのような、頭を使ったデフォルメの入る余地があるわけであります。
 別の観点から考えても、デフォルメは必ずしもまずいことではなく、むしろ、巧妙なデフォルメによって、作者の模糊とした心象風景をよりありのままに表現することもできます。「SD・東京ぬりえ」は、VRMにおけるデフォルメでも特にラジカル(?)な、地形テクスチャ製の建造物に囲まれた立体ぬりえの世界です。

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 東京駅っすねぇ。線路と車両以外は地形テクスチャだけで作られているのに、何か説明不要な説得力があるから不思議です。VRM4第3号には細密な東京駅赤レンガ駅舎のモデルが収録されていますが、それがここにあっても場違いでしかなかったでしょう。
 同じ第3号収録の103系がこのレイアウト上に存在しないことから、作者のhirochiさんは第3号をお持ちでないのかもしれません。だとしても、意図的にせよ結果的にせよ、この赤レンガ駅舎は周囲にある他の地形テクスチャのビル群ととてもよく調和がとれていて、そのことが、奇妙にも現実から浮遊したリアリティをもたらしているのであります。

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 地形テクスチャの妙のみならず、大都会ならではの列車の並走も存分に楽しむことができます。カメラを上空にあげて待っていれば、タイミングがよければたくさんの列車がやってきます。このときは想定外に列車がどんどんやってきてゴチャゴチャ状態になってしまいました。これが楽しくないという鉄道ファンはいませんよね。

 ユニークな発想でコンテストに一石を投じつつも、列車を走らせる楽しみを追求するという原点に立ち返った作品です。

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 そうそう、東京からもけっこう色んな場所から富士山が見えるんですよね。
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2007年11月26日

レイコン2007 - 十衛門さん「山麓温泉」

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 VRMは「鉄道模型シミュレーター」と銘打っていながら、製作プロセスもできあがるレイアウトも、本物の鉄道模型とはだいぶ違ったりします。そういうわけで、VRMでレイアウトを作るときには、鉄道模型というフォーマットをベースにする手法もありますし、鉄道模型という概念をすっ飛ばしてVRM独特の視点から実物の鉄道を模すやり方もありえます。
 ですがいずれにせよ、鉄道模型はVRMにとって無視できない存在であり、多かれ少なかれ鉄道模型的な要素が取り入れられるのが常です。そして、人によってあるいは作品によって、どれくらい取り入れられるかには差があり、それがVRMレイアウトの見所でもあります。

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 「山麓温泉」は1800mm×900mmサイズにTOMIX規格レールがめぐらされた、いわば典型的な鉄道模型ベースのVRMレイアウトです。セオリーに忠実なつくりで情景が詰め込まれた、実物ともまた異なる鉄道模型独特の風景を見ていると、不思議と心地よくなります。

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 レイアウトを眺めていて気付いたのは、いたるところでS字カーブを見かけることです。自分はあまり鉄道模型に詳しくないので、もしかして的外れなことを書いているかもしれませんが、無理な線形になりがちな小型レイアウトの特性を逆手にとって、敢えて曲がりくねりの激しいトラックプランにすることで、編成長のある特急気動車の姿形を際立たせているように思えました。

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 タイトルにもなっている山麓温泉については、本屋の作り込みもさることながら、橋脚脇の露天風呂が面白いです。河川部品を使うという発想も自分には意外でしたが、フレキシブルパーツではなく、128mmストレートの河川を3つうまく組み合わせて作られていることがわかってさらに驚きでした。

 鉄道模型にできてVRMにはできないこと、VRMにできて鉄道模型にはできないこと、の両方をきちんと理解したうえで、両者のメリットを活かさなければ決して作れない作品です。
posted by 45-50s at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | VRM雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

レイコン2007 - Ytigさん「H島ニュータウン」

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 「H島ニュータウン」は一見シンプルなようでいて、とても欲張りな作りになっています。VRMレイアウトのメジャーな楽しみ方はほぼ一通りできる“万能レイアウト”です。

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 情景は線路に沿った区域を主に作り込まれており、運転台カメラから見えるところにうまく労力が注がれています。線路や地形は起伏に欠ける印象はありますが、地形テクスチャーの張替えによってきちんと地面が色付けされているので、さほど平板な印象は受けません。

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 トラックプランが面白く、長方形のエンドレスを枝分かれしたような非エンドレスが囲むかたちになっており、巧いポイント切替によって、単線、複線、並走のすべてをこのレイアウト一つで体験することができるようになっています。
 エンドレス上の253系はビュワー起動直後に自動で発車するので、非エンドレス上の列車を発車させて運転を遊んでも良いですし、レイアウト上に散りばめられた地上カメラで景色を巡る楽しみ方もできます。

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 列車速度が半自動制御であったり、簡易に信号機の点灯が表現されているなど、スクリプトによる味付けもなされています。トワイライトエクスプレスの終点駅での機回しは、目玉のギミックのひとつです。
 また、地上カメラや各種運転台カメラに自動で切り替わる区間もありますが、これが画角やアングルがきちんと考慮されていて、楽しさを盛り上げてくれます。

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 一点だけ、少し作りが甘いように思われたのは、列車速度の半自動制御です。これには運転していて“ありがた迷惑”と感じる場面もありました。253系を除きはじめは手動で加速する仕組みにもかかわらず、駅停車時などは自動で加減速がかかるので、運転者は若干戸惑いを覚えます。
 手動と自動の振り分け方により配慮を加えれば、いっそうマルチなレイアウトとして完成度の高い作品になるはずです。
posted by 45-50s at 01:06| Comment(0) | TrackBack(0) | VRM雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月24日

レイコン2007 - junichiさん「ローカルプラン」

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 junichiさんの「ローカルプラン」をレビューするにあたって、とりあえず記事の冒頭を飾るスクリーンショットを撮影しようと思ったのですが、難しすぎっす。ズームアップして列車や個々の情景を主体に写すと、せっかくのスケールの大きさが全く損なわれてしまいます。かといって、俯瞰構図で大きな面積を写すにはもったいないくらい、細かい作り込みもまたこのレイアウトの見所です。

 そういうわけで、次に載せるスクリーンショットは「ローカルプラン」のエッセンスを何も表せていないこと、この作品の真価を知るにはビュワーで確かめるしかないこと、を前置きさせてください。

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 元の名前を忘れるほど自由に使われている部品と、色鮮やかな地形テクスチャが縦横無尽にばら撒かれていて、情景の作り込みとして非の打ち所がありません。
 何重にもまかれたトラックプランをぐるぐると巡るキハ85系は、さながらレイアウト内を回るツアー列車のようでもあります。徹底してリアルな情景に鉄道模型的なアプローチの長所を叩き込み、しかもそれが大成功を収めているのです。

 ところで今回、情景の作り込みについて、自分とjunichiさんの作風の違いを実感した箇所があります。

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 フレキシブルガードレールを使って表現された、曲線区間の脱線防止ガードです。自分も今回「海峡を往く」で脱線防止ガードを設けているのですが、自分が使ったのは、勾配区間に設けることができない上にアホみたいに並べるのが面倒くさい木製ベンチでした。

 ここで脱線防止ガードにフレキシブルガードレールを用いるという、ある種の“割り切り”のようなものがこの作品の根底に流れていて、それが別の場所では、躊躇ない独創的な部品の組み合わせや地形ツールの使い方に表れているのではないか、と思います。

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 画面左の複線と右の単線の間にある斜面に注目です。このような空間には、建造物を配すかせめて樹木を植えたりしてカラッポになることを防ごうとするのが、近年のネットVRM界隈における潮流だったはずです。少なくとも自分はそういう認識でした。しかしjunichiさんは、地形ツールだけでいびつな自然の斜面をおそろしくリアルに表現してしまっています。特にテクスチャー選びのセンスはちょっと真似できそうにありません。

 まだまだあるのですが全部挙げると実際キリがありません。いくつもの離れ業がぎりぎりの緊張をもって均衡を保っている、junichiさんならではのバランス感覚なくしては作れない作品です。
posted by 45-50s at 18:44| Comment(0) | TrackBack(0) | VRM雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月23日

レイコン2007 - USO800鉄道さん「美濃赤坂駅」

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 USO800鉄道さんの「美濃赤坂駅」は、VRMレイアウトとしては、スクリーンショット部門で櫻隼さんの新座駅と一二を争う出来だったかもしれません。添付資料の実景と比較ショットを見て、そのあまりの出来の良さに驚かれた方は多いのではないかと思います。
 もちろんスクリーンショット自体も非常に内容の濃い作品で、画面内には、VRMレイアウト製作における重要なテクニックがお手本のように散りばめられています。

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 割とわかりやすい所としては、いくつかの建物は高度を下げて埋めることで部品の表情を変えています。一見目立ちませんが、部品が既製品しかないVRMにおいては重要なテクニックです。画面左奥の水色の鉄骨は逆トラス橋でしょうか、何かの設備を模しているようですが、工場っぽさが伝わってきます。こうした大胆な代用も、見所であり、かつ参考になります。
 他にも画面中央の上下に2つ重ねられた交通標識といい、さりげなくランダムな向きで駐めてある自動車といい、実にたくさんのVRMテクニックが、堅実に、間違いなく、所狭しと詰め込まれています。

 然るに、これだけの労作でありながら、主役が見当たらないのです。もちろんタイトルから言えば、主役は美濃赤坂駅ということになるのでしょうけれど、画面の中で美濃赤坂駅が際立っているかというと、皮肉なことに、駅同様に作り込まれた背景に埋もれて存在感が薄まってしまっています。
 ここは例えば見せ方において、画角をもっと広角にすることでより駅構内の広さを強調した印象深い画が撮れたかもしれません。

 少なくとも自分は、見せ方次第で十分入賞を狙えたはずと思います。とはいえ、応募作品そのものを食ってしまうほどの分厚い添付資料を拝見すると、被写体のレイアウトがスクリーンショット1枚で紹介しきれる程度のものではないことは確かのようです。募集要項には「1作品につき1枚まで」とはどこにも書いてありませんから、組写真形式にして応募されれば良かったのでは、などと書いたら無責任に過ぎるでしょうか。
posted by 45-50s at 18:34| Comment(2) | TrackBack(0) | VRM雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

レイコン2007 - buchi-taroさん「北へ向かって」

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 buchi-taroさんは今回2枚のスクリーンショットを応募されていますが、そのうち「せつない想い」は、非常にストレートな形で画面に物語が展開されており、あえて解説する必要はないでしょう。

 ここでは、レイアウトコンテストの総評において“鉄道写真においては完璧に近い”と評された、「北へ向かって」に注目したいと思います。この作品は、VRMスクリーンショットを鉄道写真的なアプローチで撮影したときの一つの完成形であり、同時に、そうしたアプローチの限界の象徴でもあるからです。

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 まっすぐ前を見据えたEF81が中央に大きく配されていますが、画面奥に目をやるとまだ曲線区間を抜けていない客車が姿を覗かせていて、「北斗星」の編成の長さや、ひいては旅情のようなものを感じさせます。

 しかし、画角を狭めて列車にクローズアップすると、VRMにおいては、どうしても背景が寂しくのっぺりとした画面になりがちになります。この作品も、画面に存在する部品の種類の少なさはどうしてもウィークポイントになります。

 ただしbuchi-taroさんはそこであきらめることはせず、EF81に機関士を乗せたり、手前に生えている低木を「北斗星」にかぶるようにして写しこんだりと、苦心の様子がうかがえます。
 本来、鉄道写真(特にいわゆるオーソドックスな編成写真)では避けたいところであるはずの障害物を大きく写しこむことで、足りない遠近感を付加しているのです。

 この作品は編成写真としてはこれ以上ない出来であり、のみならず、夜間モードによってVRMならではの雰囲気を演出することにも成功しています。列車を大きくクローズアップするという、編成写真ではメジャーでありながらVRMスクリーンショットでは困難を極める手法に、正面からぶつかった作品です。
posted by 45-50s at 00:25| Comment(2) | TrackBack(0) | VRM雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月22日

レイコン2007 - むらPさん「夕暮れ時の工場と蒸留塔」

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 「水面に映るVSE」が明快なアイディアで部門賞をもぎ取った快作であるならば、「夕暮れ時の工場と蒸留塔」は、目にするたびにじわじわと記憶に食い込んでいく、スルメイカのような怪作であります。

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 蒸留塔のシルエットが林立する不穏な薄暗がりに、工場の壁を這う配管が、汚水に浮かぶゴミが、動き出す貨物列車が、ぼんやりと浮かび上がっています。工場から乾いた機械音が響いてくる気がします。作業する人たちさえ工場の機械の一部に思えてきます。

 もうワケがわからないくらいコンプレックスを極めた工場の作り込みは、あまりの凄さにそこだけに目を奪われがちです。しかし、実はこの工場に息を吹き込んでいるのは、夕暮れモードと照明部品を併用した光線の演出です。VRM4ならではのテクニックによる表現が、天球テクスチャと共に画面に不穏な空気を流し込み、工場に最後のリアリティを加味しています。

 建造物に見られる“規則正しさ”と、浮遊するゴミなどに見られる“良い意味でのラフさ”が両方とも完璧に備わっており、しかもそれがダークな演出によって幾倍にも強化された隙のない作品です。
posted by 45-50s at 01:38| Comment(0) | TrackBack(0) | VRM雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月20日

レイコン2007 - むらPさん「水面に映るVSE」

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 むらPさんの応募作品である「水面に映るVSE」と「夕暮れ時の工場と蒸留塔」は、今回のレイアウトコンテストの応募作品の中では、Caldiaさんの「回転オルゴール」に次いでインパクトのあった作品です。
 中でもこの「水面に映るVSE」は、少なくとも自分にとって、作者のイメージとのギャップという意味では「回転オルゴール」をも凌ぐ驚きです。

 今まで、信じられないほど高密度に部品を組み合わせて作られたストラクチャを持ち味としてきたむらPさんのことですから、今回のレイアウトコンテストもお得意の複雑怪奇な情景スクリーンショットを携えて参戦されるのだろうと、自分は当然のように思っていたのです。

 そのむらPさんが、よもや“情景そのもの”ではなく“地形テクスチャを使った一発ネタ”を主題に据えてこようとは!

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 語弊があるかもしれませんが、むらPさんのような方がいる限り、「レイアウトが締切までに完成できなかった」という理由だけでスクリーンショット部門に参加するようなネガティヴな意識では、決してこの部門を制することができません。
 スクリーンショットにもとめられているのは、レイアウトの副産物などではなく、自分が製作したVRMの風景を「いかに魅せるか」であり、また「スクリーンショットでないと魅せられないこととは何か」を示すことです(ここでは言うまでもなく水面に映るVSEがそれに当たります)。

 「水面に映るVSE」は、昨日レビューをした櫻隼さんの「夕闇の駅」と同様に、主役の引き立て方が大変に巧妙です。既にghostさんjunichiさんが言及されているように背景の作り込みはさすがむらPさんと言うしかない出来栄えであり、だからこそ主題である水面がいっそう映えるのであります。

 例えば注目したいのは、遠近感です。画面左に写り込む目前の松の木、線路の向こう側の神社のある小山、地形テクスチャだけの遠山、これらを折り重ねることで丁寧に遠近感が施されています。もちろんひとつひとつの要素には一片の手抜きもありません。
 また、一見何を走らせても構わなさそうな画面を横切る列車も、背景のグリーンに埋もれることなく存在感を発揮できているのはVSEの白い車体ゆえです。readmeによれば「VSEをモデルにしたい」との思いがあったとのことですが、まさしく適役であったと思います。

 実を言いますと、自分は、主題である水鏡が必ずしも表現として十分であったとは思いません。本当ならば、VSEや山の鏡像は水面を境界として線対称に写るはずですし、空を写した水面が真っ白に飛んでいるのも、実景ならばどうであろう、と思わないでもありません。
 しかし、それを差し引いても、とゆーか、そんな些細なことは気にせずとも、卓越したアイディアとそれを完璧に演出する情景製作能力は、スクリーンショット部門賞にまさしく相応しい物であったと思います。
posted by 45-50s at 22:29| Comment(2) | TrackBack(0) | VRM雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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